若手プレイヤーの奮闘と挑戦 No.1




目次


    • プロローグ
    • workout
    • 今、アメリカで戦う2人
    • 猪狩渉の熱い想い

プロローグ


6月某日都内

若手のBリーガーや現在アメリカの大学でプレーする選手達のworkoutに参加した。

きっかけは

「明日使える体育館を探している」

という1通の連絡からだった。

偶然にも使用できる体育館を見つけ、workoutが行われることになった。

正直、そこに集まったメンバーに私は度肝を抜かれた。
そして、彼らのプレーや想い、言葉に強く感銘を受け、発信する必要性を感じ、今これを書いている。

日本バスケ界はこの1年で歴史的なことが続いた。

19年中国で行われるW杯の出場
20年東京オリンピックの出場権獲得
渡邊雄太のメンフィス・グリズリーズでの活躍
八村塁がNBAドラフト1巡目9位でワシントン・ウィザーズが指名

今、確実に日本バスケの歴史が動き始めている。
それに合わせBリーグの注目度も右肩上がりだ。

しかし、海外では私たちが知らないところで孤軍奮闘する選手がいる。




もちろんここまでもそうだ。

田臥勇太(栃木ブレックス)が日本で初めてのNBA選手になってから、多くの選手がアメリカや世界各国でチャレンジを続けてきた。

正直、その後、渡邊雄太や八村塁まで海外で大きな成功を収めた選手はいない。

しかし、そんな多くの選手の奮闘と挑戦があったからこそ、渡邊雄太や八村塁のストーリーが誕生したと私は考えている。

そして、今この瞬間も、そんなストーリーを描くために、
新しい道を切り開くために挑戦をする選手たちがいる。

「誰も知らないところで咲く花がある」

そんな彼らが、枯れないように、踏み潰されてもまた起き上がる。

そして成長していく。

そんな姿を、今回からは追って行きたい。

彼らの努力が必ずまた日本に新しいバスケの可能性を示してくれる。
もしかしたら、ここから新たなNBA選手や海外で活躍する選手が誕生するかもしれない。

日本バスケと海外挑戦

その両方を私たちはしっかりと知っていく必要があるように感じている。




workout


まず、今回のworkoutに参加した選手を紹介したい。

猪狩渉選手

twitter
https://twitter.com/chuckwataru
Instagram
https://www.instagram.com/wataru_4/
経歴
福島県いわき市赤井ミニバス
福島県いわき市立中央台北中
秋田県立能代工業高等学校 ウインターカップベスト8
スラムダンク奨学金第8期生
IMGアカデミー
福島ファイヤーボンズ


長谷川暢選手

twitter
https://twitter.com/n1o2b2o1_h?lang=ja
経歴
上尾市立大石中学校 全国中学校バスケットボール大会優勝
県立能代工業高等学校 ウインターカップベスト8
日韓中U-18日本代表
早稲田大学関東大学バスケットボールリーグ戦 アシスト王
インターカレッジ MIP賞
青森ワッツ 2017-18シーズン
秋田ノーザンハピネッツ2018-19シーズン


酒井逹晶選手

twitter
https://twitter.com/basketatsu3
Instagram
https://www.instagram.com/tatsubaske3/
経歴
野々市市立布水中学校 全国中学校バスケットボール大会ベスト4
北陸学院高校 ウィンターカップベスト16
スラムダンク奨学金9期生
St. Thomas More Prep
St. Joseph’s college in ME


鍵冨太雅選手

twitter
https://twitter.com/tkagitomi
Instagram
https://www.instagram.com/taigainny35/
経歴
渋谷敎育学園渋谷中学校
福岡大学附属大濠高校キャプテン
U16日本代表キャプテン FIBAアジア選手権4位
U18日本代表FIBAアジア選手権2位
U19日本代表FIBAW杯10位
スラムダンク奨学金10期生
Bowdoin College


中山大輔選手

Instagram
https://www.instagram.com/dai_daaai/

経歴
カナディアンアカデミー
カリフォルニアルーテル大学(NCAA Div3)


の5人の選手が集まった。




長谷川暢は19-20シーズンも秋田ノーザンハピネッツと契約が更新された。

中学、高校、大学、そしてBリーグ
常に日本のトップレベルでプレーしてきた彼のことをご存知の方も多いだろう。
19-20シーズン、秋田の前田顕蔵新HCの元で、よりチームの中心として活躍が期待される選手の1人だ。

猪狩渉酒井達晶鍵冨太雅はスラムダンク奨学金の8期、9期、10期に選出され、アメリカに渡った選手達だ。


スラムダンク奨学金については以下を参照
http://slamdunk-sc.shueisha.co.jp






猪狩渉はプログラム終了後に、日本に帰国し、Bリーグ初年度から地元である福島ファイヤーボンズで活躍した。
今シーズンを持って双方合意の形で契約が満了となった。

中山大輔は日本では全くの無名選手であるが、現在アメリカNCAA Div3のカリフォルニアルーテル大学でプレーしている。
彼は大学からバスケを始めたという異端児である。
ラグビーの経験を持ち、フィジカルに長けた選手だ。

驚くのはバスケを大学から始め、まだ3年だという。

これからの可能性感じる選手である。




今、アメリカで戦う2人


午前のworkoutは猪狩渉長谷川暢、中山大輔の3人で行われた。
シューティングから始まり、猪狩渉を中心に進んでいった。
(メニューに関しては後日、書いて行きたい。)

午後から酒井逹晶鍵冨太雅が合流。
午後は酒井逹晶を中心にハンドリング練習からworkoutがスタートした。


もしかしたら、Bリーグファンの方にはこの2人を知らない方もいるかもしれない。

Bリーグが誕生するまで、間違いなく日本バスケの最大のイベントは高校No.1を決めるウィンターカップだったと思う。

もちろん前述した猪狩渉長谷川暢もウィンターカップの舞台で活躍した。
2人は能代工業の同級生であり、
能代工業が数年ぶりにウィンターカップのセンターコート
(男子はベスト8以上、女子はベスト4以上)
に戻ってきたときのメンバーだ。(2014年)

私も、常勝能代の復活に心を踊らせ、その試合を会場で見ていた1人だった。




もちろん、酒井逹晶鍵冨太雅もウィンターカップの舞台で活躍した選手だ。

酒井逹晶は野々市市立布水中学校で全国中学校バスケットボール大会ベスト4に輝き、
当時バスケ部が新設された石川県北陸学院高校の1期生として進学した。
創部2年目でウィンターカップに出場。3年次にはウィンターカップベスト16まで進んだ。
その後もウィンターカップを賑わせるチームとして北陸学院は注目を浴びているが、その礎を築いた1人がこの酒井逹晶だ。

鍵冨太雅は名門福岡大濠で3年間ウィンターカップに出場している。
渋谷敎育学園渋谷中学校から福岡大学附属大濠高校に進学。
1年生からベンチ入りし、3年次にはキャプテンを務めた。
アンダーカテゴリーの代表でも中心を担い、キャプテンを務めた経験も持つ。

中学時代から有名選手であり、高校時代も誰もが注目する選手だったこの2人

高校時代はメディアでも見ることが彼らの名前
しかし、アメリカに渡ってからはその名前を見る機会が減っていることに私自身も猪狩渉に指摘されて気づいた。

「今、アメリカで戦う2人」

そして、アメリカでチャレンジをする選手は決して彼らだけではない。
男女共、多くの選手がアメリカを含めた海外でさらなる高みを目指しチャレンジをしている。

彼らとの出会い、そして、彼らが何気無く口にする言葉は、私の中である確信に変わった。

「彼らが今、感じているリアルこそが、これからの日本バスケの未来を作っていく」

今、日本バスケが盛り上がりを見せている中で、私たちがこれからの日本バスケのために知らなくてはいけないことが彼らの言葉にはたくさんあると感じたのだ。




猪狩渉の熱い想い


そして、その考えをさらに強く感じさせたのが、猪狩渉の言葉だ。

彼は私にこう語りかけた。

「アメリカでこうやって頑張っている選手がいる。でも日本にはその情報は入ってこない。彼らのような選手がいること、彼らが実際に戦っている姿をもっと知って欲しい。」

私は31歳になる。

目の前にいる猪狩渉という男は23歳になったばかりの青年で、身長も僕と全く同じ168センチだ。

その身長は間違いなく、バスケットボールという競技においてハンデになる。

しかし、彼はアメリカを経て、日本のプロリーグでプレーするプロバスケットボール選手だ。

そんな彼の言葉から感じる熱い想いは私の心の真ん中に響いた。

まだ23歳の彼が、自分のことではなく、今、アメリカで戦う後輩たちのことを知って欲しい。と
何度も口にするのだ。

もちろん先輩として、経験してきたことなどから想うことがあるのだろう。

しかし、自分が取り上げられたい!自分をもっと知って欲しい!
と思ってもおかしくない年代の彼が、最優先に後輩2人について熱く語るのだ。

何より、彼自身もアメリカでの大学進学を断念して帰国した選手だ。

そのとき、あるレジェンドプレーヤーの言葉を思い出した。

NBA76ersなどで活躍したアレン・アイバーソンの言葉だ

I don’t play it with my size, I just play with my heart.
I think I have one of the biggest hearts in this league.
That’s what helps me get over it nine times out of 10,
just playing with my heart.
「体のサイズでプレーしているんじゃない、ハートでプレーしているんだ。
俺はリーグで1番大きなハートを持っていると思う。
ハートでプレーすること、それで殆どのことを乗り越えてきた」

猪狩渉という選手はまさにそんな選手であり、そんな男だと感じた。

心の底からバスケを愛し、楽しみ、日々進化することを考えている。
そして、自分だけでなく、様々なことに目を向けている。
何より、いつもファンを楽しませるプレーを見せてくれる。

そして、驚いたのは、その彼の言葉の後に、酒井逹晶鍵冨太雅も続いたのだ。

「もっと知って欲しいことがたくさんある。」

先ほどまで、冗談を交えながら、笑っていた彼らとは全く違う。
真剣な表情がそこにはあった。




アメリカという異国の地で、努力する若者に、僕らができることは何だろうか。
また、アメリカというバスケの本場の地で彼らが得ているものは何だろうか。

私の心はくすぐられた。
それと同時に自分自身に未熟さに似た感情を感じた。

そして、そこには静かに燃える日本のトップを走り続けてきた長谷川暢もいた。

彼はこの会話には加わっていなかったが、今、日本のトップリーグでプレーする彼にも様々な考えやビジョンを感じる。
そして、彼の目に同年代でアメリカでプレーする彼らはどのように映るのだろうか。

まだ経験が浅いが、アメリカの地で奮闘する中村大輔も本気でBリーグでのプレーを目指している。

猪狩渉の熱い想い

今回のworkoutの中心に間違いなく、そんな猪狩渉の姿があった。

そして、多くの選手の想いが共鳴するからこそ、今回のworkoutは開催されたのだろう。
私はそう感じた。

彼らは良き仲間であり、最高のライバルなのだ。

そんな日本とアメリカで活躍する若手プレイヤーの奮闘や挑戦の多くを私たちは知らない。

ただ、私は思う。

渡邊雄太や八村塁が日本バスケの歴史を動かしたように

同世代の彼らが間違いなく、これからの日本バスケの新しい歴史を作っていくはずだ。

そして、バスケを心の底から楽しむ姿や、スイッチが入ったときの真剣な眼差し

きっと、そこに日本バスケの未来の可能性が詰まっているに違いない。

日本バスケ新時代はきっと、彼らの世代で作られていく。

その日を信じて、私は彼らのことをこれからも追いかけて行きたい。


(今後、不定期で連載して行きます。)





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