B think ~クラブとヘッドコーチの在り方~




目次


  • クラブと指導者を考える
  • 常勝鹿島アントラーズから考える
  • 千葉ジェッツふなばしの理念共有型
  • 弱者のメンタリティ、クラブの歴史を共有できるか

こんにちは、宮本です。

最近、記事を引用していただいたりだとか、SNSや公式ラインを通じて全国からメッセージをたくさんいただくようになりました。
ありがとうございます。

中高生からプレーについての相談やブースターの方から観戦だったり、戦術的な疑問、質問をたくさん頂きます。

僕自身も指導者として活動しているときから、公式の勉強会などではなく、個人的にアポイントを取って学ばせてもらった経験もあります。
その中には突然の連絡にも関わらずすごく親切に多くのことを教えていただいた方がたくさんいらっしゃいます。

昨日もメッセージ頂き、嬉しい言葉をたくさんもらいました。
また、それ以上にその方のバスケに対する愛情や応援するクラブに対する愛情、そして、知識などにむしろこちらが多くを勉強させてもらうような感覚でした。

こんなことを聞いてバカにされないかな。
とか
迷惑じゃないかな
とか思うんですね。

僕も思います。笑

でも、そういうところからの出会いや学びは今の僕のバスケ観やバスケとの関わりを作っています。

87ラボもそんな情報を発信したいですし、ぜひ気軽に声をかけていただければ、嬉しいなと思います。




今回はBリーグ前半戦を見ていて感じたことを少し。

以前、バンディエラ(サッカー用語らしく、バスケ的にはフランチャイズプレーヤーとかいうらしい)について考えを発信しました。
B think 〜クラブの魅力、バンディエラについて考える〜

その時に、京都ハンナリーズの岡田優介選手をピックアップさせていただいたところ、反応して頂き、岡田選手の方から、「京都なら内海選手、もしくは浜口HC」というコメントを頂きました。

リーグなので、上位下位が技術的にも、他の部分でも色々差がでるわけですが、できたばかりのBリーグは変革を起こそう、アイデンティティを作ろうとしているクラブが多くある気がしています。

その辺をちょっと考えて見たいなと思います。
前置き長くなりましたが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。




クラブと指導者を考える


クラブにおいて指導者とはどんな存在なのか。

Bリーグファンの中には、推し選手を追いかけている人もいれば、箱推し(というのでしょうか)、チームを追いかけている人もいると思います。チアを追いかけている人もいると思います。

その中にHCやスタッフを追いかけている人もいると思います。

僕も10年指導者をやっていて、昨年まではクラブチームTOKYO ANDERSENで1からクラブを設立し、自らのクラブ理念を発信し、理想のクラブを作ることを目指して4年ほど活動していました。

up to you ~すべてのことは自分次第~

というクラブ理念のもと、成長を目指し、選手はバスケットボールを通じて成長を求めている選手を対象として、最終的には学生がバスケを通じて地域に貢献できるクラブを目指し、バスケのスタイルも戦術面に重きをおいて、部活では学べないようなチーム戦術を提供し、それを現役生は部活にいかしてもらう。また若年層から積み上げることによって、クラブの伝統として継承していく。
中学生から大学生まで40人ほどで活動していました。

結果的に、最初の世代交代で、みんなで楽しくやりたいという選手の声ともめて笑
僕はクラブ代表を降りることになりましたが笑

素晴らしい経験ができたこと
また、その難しさも体感することができました。

クラブは基本理念があると思います。
そしてバスケットボールのスタイルがあると思います。

その中心にはGMやHCがいると思います。

その人たちに魅力を感じるというは、個人的にはすごく自然なことで、バスケットボールやチームの活動を見ていて、素晴らしいなと感動を受けたり、感じたりするクラブは、自ずとそこに理念を大切し、常に心がけを持ったGMやHCが存在しているのではないかなと感じます。

僕自身もある意味、クラブチーム時代はそういう存在であり、しかし、それが時にブレたり、時に強大すぎたりなど、様々なパワーバランスの中で、難しさを感じました。

Bリーグはまだまだできたばかりのリーグであり、そういう部分をファンとともに作り上げるチームも存在していると感じます。
そこもそこで魅力です。

クラブと指導者にはそういった好きなことだけができる
という側面は全くなく、クラブ理念にそった経営や指導、コーチング、また個人にもそういった誠実さだったり、情熱のようなものが求められるのだと思います。



常勝鹿島アントラーズから考える


こういうことを考える時に、87ラボで毎回出てくるのが、Jリーグの常勝軍団の鹿島アントラーズです。
鹿島アントラーズの創世記にその礎を気づいたのは、多くの方がご存知
ブラジル人でサッカーの神様と呼ばれるジーコです。
来シーズンもシニアディレクターを継続されることが先日発表されました。

鹿島の凄さはその25年も前のことを継承し続けていることだと思います。

クラブ理念などは途中で時代に合わせて少し変わっているかもしれませんが、サッカーの在り方、スタイルは時代の流れに適応する以外は全くブレていないと感じます。

勝利を目指すスピリッツだったり、ファミリーという精神であったり

そして、クラブの指揮をとる監督(バスケでいうHC)もぶれることなく、そのほとんどがクラブのOBもしくはブラジル人が歴任しています。

そして何より、鹿島アントラーズはスカウトの力が素晴らしい。

世代の有名選手を取っている印象を受けるかもしれませんが、そうではなく、鹿島でしっかり活躍ができるように育つであろう選手を補強しています。

そして、メディア受けするような選手は多くはないですが、すべての選手が、
「鹿島のために」
という言葉をよく口にします。




これは簡単出てくるような言葉ではなく、鹿島の理念やスタイル、伝統に共有し、受け継がれてきたからこそ、そのような言葉が自然と出てくる選手が多いのだと僕は感じています。

もちろんシーズンによっては成績が振るわなかった時代もありますが、鹿島のすごさはピッチ上の監督と呼べるような知的な選手、また仕事を遂行できる選手が常に生まれてくるところだと思います。

これは監督と選手の距離感や役割の認識、任せるところ、任されるところの配分がいいのではないかと感じています。
(もちろんサッカーの競技特性もある。タイムアウトがないとか、監督の声が届きにくいとか)

常勝鹿島からは本当に学ぶことが多いですし、ほかにも競技は違えど、湘南ベルマーレなどもJ1の下位クラブですが、非常に魅力的です。

湘南の曺貴裁監督が作り出した湘南スタイルというサッカーの在り方
それに対する補強
J2に落ちても継続する一貫性

これは監督のすごさもありますが、フロント陣の素晴らしさもあると感じます。
決して予算規模の大きなクラブではありませんが、湘南スタイルは非常に魅力的なサッカーであり、監督自身も強面ですが、非常に面白いコメントをたくさん残してくれる方です。

そういう部分はBリーグもそれぞれ予算規模や地域性などが違うので、参考にしていく必要があるのではないかと感じています。




千葉ジェッツふなばしの理念共有型


Bリーグで、クラブとHCの在り方で先端を走っているのは千葉ジェッツふなばしだと思います。
島田社長の書籍「千葉ジェッツの奇蹟」でNBL時代に元日本代表HCのジェリコ・パブリセヴィッチ氏を招聘したところ、うまく行かなかったエピソードが描かれています。

よかったらぜひ購入して読んで見てください。
本当に面白い一冊です。

ジェリコHCの能力に疑いはありません。
しかし、島田社長はクラブの理念に沿っていたか…
という部分に着眼点があったようです。

ここがすごく今回気になるところで、もちろんHCがクラブのアイデンティティを作ってくれる場合もあると思います。

しかし、理想はクラブがそのアイデンティティを提唱し、予算やレベルに合わせて積み上げていき、その時その時に沿ったHCを招聘していくこと、またHCにもクラブの理念やスタイルを理解してもらってそこからスタートし、ベースがある中で、新しいものを積み上げていくことが大切だと。

そのようなことが書籍に書かれていました。
(細かいニュアンスは違うかもしれません)

結果、Bリーグ初年度から大野HCが招聘され、千葉は着実に成績を残していき、昨年はリーグ準優勝や天皇杯2連覇

また観客動員数も1位です。

これはクラブ理念の共有だったり、徹底だったり、

フロントだけでなく、HCや選手もそれらを共感し、共有して1年を戦ったからこその結果だと僕は感じています。

魅力とはそういうもので、チームは生き物ですから、うまくいかないときももちろんあります。

しかし、それでも目指すべきものを共有した組織はそこに必ず感動を呼び、そしてそこにファンが共感し、新しい感動が生まれます。

プロですから、勝利が最も大切なものの1つですが、そこを超えた感動というものがスポーツの1つの可能性なのではないでかなと感じます。

実際、Bリーグの他のチームでもクラブOBがHCを勤めているクラブがありますし、前述した京都はHCが象徴的存在として、多くのアイデンティティを作り上げ、確実に選手がそこに共感し、組織をなしています。

それはコートでのプレーを見ていればわかると思います。

近い将来、そういうものをしっかりと継続、継承していけば、それがもっとブースターにも伝染し、京都の魅力が発信されていくのだと僕は感じています。

ほかにも例に出したいクラブは多くありますが、書ききれないので今回は割愛させていただきますが、チームの強さ、魅力をそんな側面から考えることも楽しいのではないでしょうか。



弱者のメンタリティ、クラブの歴史を共有できるか


今シーズンが半分終わったところで感じることがあります。
それはクラブの歴史を共有できるのかということです。

3シーズン目に入り、移籍などによって、有力選手が上位チームに偏った
という印象もなくはないと思います。

もちろん素晴らしい選手がたくさんいれば勝てるわけではありませんが、何かしらの影響はあると考えられます。

その中で、今実際下位にいる僕の地元レバンガ北海道は今シーズンブラジルの名将ジョゼネトを招聘し、成績不振を理由に20試合ほどで解任しました。
いろんな要素を省き、成績だけ見れば20試合で4勝
後任の内海HCは10試合ほどで4勝したことを見ると、解任は正しかったと言ってもいいと思います。
(個人的には複雑)

サンロッカーズ渋谷も勝久HCを解任後、伊佐ACがHCになり、成績面では向上が見られました。

そこで感じたのは、北海道にしても、渋谷にしても、より進化を求めたり、クラブの明確なアイデンティティを確立して行こうという印象を個人的には感じました。

北海道はそれがネトHC招聘でしたし、渋谷もケリー選手の加入でより進化を求めたと感じます。

しかし、実際はうまくいかなかった。(から解任になった…?)
Bリーグでコーチをされる方は、間違いなく素晴らしいコーチですし、レベルが高い方々です。
また、ネトHC含め、外国籍コーチも世界的な名将と呼べる方もいます。

しかし、僕が感じたのは、クラブの歴史を共有しきれていたのか。
また北海道で言うのなら、弱者のメンタリティがあったのか…

ということです。




レバンガ北海道を例に出すと、ネトHCは間違いなく名将で、観戦するだけでも多くの新しい発見がありました。
しかし、レバンガ北海道は決して強豪ではなく…
(昨日メッセージいただいた方もおっしゃっていました。)
ネトHCをきっかけにさらなる進化、強豪への道をあゆむ気持ちだったと思います。

しかし、チームの積み重ね、感じるアイディンティティは北海道はどちらかといえば、戦術を駆使した弱者のバスケットボール(言い方が間違いかもしれません)で、強豪と渡りあってきた歴史を歩んでいます。

果たして、ブラジル代表のACまで務めたネトHCにそんな弱者のメンタリティがあったのだろうか。
(ただ、間違いなくクラブの歴史を理解しようとしてくれていて、北海道を愛してくれていたことは事実だと思います。)

また、それは今の滋賀にも感じます。
滋賀も決して強豪とはいえないのが現状だと思います。

ショーンデニスHCは僕もその経歴を詳しくはしりませんが、経歴を見るだけでも、素晴らしいHCとして様々な賞も受賞されています。

しかし、彼に弱者のメンタリティーがあるのでしょうか。

疑問点としては、北海道も滋賀も考え方は同じで、HCの力をきっかけに強豪へのステップを踏んで行こうという考えだと思います。



そこが難しいところで、現在地にあったHCだったり、クラブ理念にあったHCだったのか。
滋賀はわかりませんが、北海道には素直にそんな疑問が浮かびます。

結果、後任の内海HCは女子代表を率いて、強豪を相手に自分たちの良さを最大限に生かすバスケで感動を呼び、ベスト8の成績も残しました。

また、その前のオリンピックやアジア大会では、様々な苦渋も舐めてきました。

そういう中で就任したレバンガはある意味内海HCの経験が生きるクラブだったと感じます。

先ほどの千葉ジェッツふなばしの話ではないですが、これからクラブが成長していく中で、クラブ理念に沿ったHCやスタッフの招聘というものがかなり大切になってくると感じます。

毎年優勝できるのは1クラブのみですから、成績だけで全てを評価できるわけではありません。
琉球ゴールデンキングスの佐々HCなどは先日の試合後のインタビューで、琉球のこれまでの積み重ねや関わってくれた方への感謝の言葉を述べていました。
(渋谷戦で伊佐HCや山内選手への言葉でもあったと思う)

そういうクラブ理念、歴史を大切にできるHCを招聘することが、クラブの成功の鍵の1つになると僕は思います。

北海道は今回の失敗?をプラスの力に変えていって欲しいですし、今、下位に沈むチームもそういう観点でHCやスタッフ、選手の招聘に動けば、少しずつ成果は見えてくると思いますし、ファンが感じる魅力も増大すると思います。

言葉にすると簡単ですが、それは非常に難しいことです。

しかし、そんなクラブとヘッドコーチのあり方も、采配や成績、ひいてはクラブの魅力として考えてみる、気にしてみるとバスケットボールがまた面白くなるかもしれません。

そして、スポーツの面白さは成績以上にそんなクラブやそんなHCとともに、もちろん選手含め
そんな方達と同じ時間を共有する、空間を作り出すことにあるのではないでしょうか。

みなさんは応援しているクラブをそんな観点で見たとき、どう感じているでしょうか。
ぜひ、考えをお聞かせいただけると嬉しいです。

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